「現の証拠」の語源になった日本を代表する民間薬『ゲンノショウコ』

道端にひっそりと生える野草を見分ける事が出来る人は、現在はどのくらいいらっしゃるでしょう。観賞用で人気になっているゲラニウムをもっと小さく したこの野草は、実は日本在来の頼もしい民間薬です。種がはぜると神輿のような形になることからミコシグサとしても親しまれてきました。

ゲンノショウコは古くから下痢止めの妙薬として、下痢や便秘の時の整腸剤として利用されてきました。苦味もなく無臭のため子供でも飲みやすいので、日頃からお茶代わりに飲むことも可能です。
以前腹痛を感じたときに飲んだ煎じ茶は甘みさえ感じておいしくいただく事が出来ました。

動物達は知識として植物の効能を知っているわけではなく、匂いや味で自分に必要な草を嗅ぎ分けて選び取る事が出来ます。人間も本来は自分の体の声を聞いて 食事をしたり睡眠をとったりする事で、自然治癒力を働かせて健康でいられるはずです。ですが、現代人は8割型目に見える情報の中で生活しているのが現状で す。

知識先攻型の現代人にとっては、たかが草ですが、野草(雑草)の効能を見分ける事が出来るだけでも豊かな気持ちでいられるのではないかと思います。 日本在来の民間薬にもなるドクダミ、センブリ、ユキノシタ、オオバコ、ヨモギ等とともに是非ゲンノショウコも覚えていただけたら嬉しいです。

代表 鈴木さちよ

煎じ茶として

乾燥した地上部     約 20g
お湯          約 300ml
お湯の中に乾燥したゲンノショウコを入れ4~5分煎じます。煮出した場合は一回100ml位から体調を見ながらお試し下さい。 ハーブティーのように熱湯を注いでお茶としても飲む事が出来ます。

入浴剤として

乾燥した地上部   約100g
木綿などの布袋
巾着状の布袋に乾燥したゲンノショウコやヨモギなどを入れお風呂にいれて入浴剤として薬草風呂を楽しむ事ができます。ただれ、湿疹、かぶれ、カミソリ負けなどの皮膚疾患対策用や美肌対策用として、冷え性対策用として利用できます。

10月のハーブ:ゲンノショウコ

和名:ゲンノショウコ(現の証拠)

学名:Geranium nepalense subsp. thunbergii

別名:ミコシグサ、医者要らず、医者泣かせ、医者殺し

原産地:日本全土(北海道から奄美大島まで)、朝鮮半島

分類:フウロソウ科 フウロソウ属

花ことば:強い心

特徴:
日本全土の道端等に自生します。
高さは30~50cm、茎は地を這ってやや立ち上がり、よく枝分かれします。夏に5弁の花を咲かせます(花の色が西日本は紫紅色、東日本は白色)。種がはぜると神輿のような形になります。

利用:
土曜の丑の頃(7~9月)の開花期に採取した地上部を利用します。
整腸作用、利尿作用、緩下作用、消炎作用、抗菌作用、健胃作用、強壮作用を有します。生理不順、生理痛、腹痛、下痢、便秘、高血圧予防、かぶれ、口内炎、扁桃炎、糖尿病、食中毒、湿疹、動脈硬化、脚気、冷え、切り傷、擦り傷、しもやけ、ただれ等に利用します。日本の民間生薬として古くから利用されてきました。
※トリカブト、キツネノボタンなどと葉が似ているので取り違えないようにしましょう。
参考:「身近な薬用植物」指田豊、木原浩/平凡社、「日本のハーブ事典」村上志緒編/東京堂出版、
「日本の薬草」指田豊監修/学研

Share